第32回 日本乳癌学会学術総会

毎月院長ブログを書いていますが、今回は月末の締め切りに間に合わず、8月になってからのブログの更新になってしまいました。2024年7月11日から13日まで 仙台市で開かれた第32回 日本乳癌学会学術総会 について書かせて頂きます。

梅雨の時期で、前日の夜に仙台市に飛行機で到着した時は雨でしたが、翌日から3日間は雨も降らずに済み、学会に参加するのには楽でした。いつも乳癌学会はこの時期なので、梅雨の時期ははずしてもらえればと思います。

前回仙台で開催されたのは、2011年9月に第19回 日本乳癌学会学術総会が、当時東北大学の教授であった大内先生のもとで開催されました。ご存じのように、2011年3月11日は東日本大震災が起こった日です。もともと仙台市で6月30日から3日間を予定されていましたが、会場の仙台国際センターが震災の被害に遭い、延期になりました。延期が発表された当時は 学会の開催は無理ではないかと、会員の多くの皆さんは思っていました。大内先生が東北の復興の一助として、学会開催を英断されました。当時空港からバスで仙台市内に向かいましたが、道路沿いには「がれき」の山がいっぱいあったことを覚えています。仙台空港アクセス線という鉄道が空港から仙台駅まで開通していましたが、2011年の学会開催時は、地震の影響で不通となっていました。

また、学会場近くには2015年に地下鉄の駅ができたために、今回は学会場へのアクセスも改善していました。前回の2011年の学会の時には多くの参加者がタクシーを使い、学会場近隣の道路が混雑し、1日目 朝1番の発表者の何人かは遅刻する というハプニングもありました。今回の参加者数は、WEB参加も含めると6,200名だったそうです。

2024年の会長は東北大学乳腺・内分泌外科教授の石田先生でした。石田先生は、会長講演で「乳癌診療に携わって32年 すべての成果を患者さんにとどけるために」というタイトルで今までの研究成果を発表されました。特に大内先生との研究で、「40歳台 女性の乳がん検診でマンモグラフィ単独群とマンモグラフィに乳腺エコーを追加した群での大規模臨床試験を行い、エコーを追加した群で乳癌発見率が有意に高かったこと」を示されました。現在、死亡率減少効果があるかどうかを経過観察中です。

今回の学会には、当院から9題の発表がありました。厳選講演に選ばれたのは医療技術部の技師さんで、初日の朝1番の発表でしたが、落ち着いて発表していました。その他厳選ポスター発表1題、ポスターディスカッション2題、e-poster5題でした。皆さん当院での臨床の研究成果を発表して頂きました。

大阪ブレストクリニック 院長 芝 英一 【認定資格】 大阪大学医学博士 日本外科学会認定医、専門医、指導医 日本乳癌学会専門医・指導医 NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構認定読影医 日本内分泌・甲状腺外科専門医